「偏差値とゴマすりのうまさは比例します」。厚生労働省の元キャリア官僚として、東大法学部出身の秀才に囲まれてきた兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科教授・中野雅至氏はこう断言する。大物政治家たちを籠絡するエリートたちの技を開陳しよう。

さまざまなスキルと同様に、ゴマすりのテクニックも練習しだいで伸びます。私が効果的だと思った方法を2つ紹介します。

ひとつは、10人連続で他人をほめる練習。相手をほめるには、当人の気持ちを理解するという基礎的なコミュニケーション能力が求められるほか、その人の個性や長所などを見極める観察力と洞察力、そして表現力が不可欠です。実際にやってみるとわかりますが、10人それぞれの利点をピックアップして表現するのは、20人連続でけなすことよりもはるかに難しいことがわかります。

たいてい、5~6人までは順調です。でもその後はボキャブラリー不足に陥って似たようなことしか言えなくなります。話し方が上手だ、ということだけでも「声が大きくて張りがある」「ハスキーで目立つね」「きれいな聞きやすい声だ」とさまざまな形容で表現できます。飲み会の席などで、一度チャレンジしてみてください。

もうひとつは、物事を1分でまとめて相手に伝える練習。テーマは小説や映画でもいいし、時事問題や抱えている企画のことでもいい。

これはゴマをする相手の本質を掴む訓練で、上司へのホウレンソウなどの場面を利用して鍛えれば一石二鳥でしょう。余談ですが、この本質を掴む技術はお笑い系のタレントさんが得意とするところで、私は何度も共演中に驚かされました。なんでこんな短時間で核心を突くひと言が言えるのか? 彼らの瞬間的な洞察力には、ゴマすり上手の官僚も感心しているはずです。

最後に、ゴマをするうえで大事な心得を確認しておきましょう。それは、何のためかを常に意識することです。ゴマすりは決して目的ではなく、あくまで「会社で出世する」「リストラされない」といった目的のための手段であること。ゴマすりを目的化してしまっては、卑屈になってストレスをためてしまうばかり。あくまで仕事を進めるための手段だと認識して、テクニックを磨きましょう。今日も、霞が関では東大卒のエリートキャリアが議員や関連団体に頭を下げ、あらん限りのゴマをすっています。しかし、彼らにはコンプレックスのかけらもありません。ゴマすりは日本を動かすための手段だと悟っているからです。