悪魔の言葉を使うな!

最後に未来ある子供たちにいつも伝えている言葉を一つ。 「Chance favors the prepared mind」(チャンスは準備のある心に舞い降りる)。

フランスの化学者パスツールの言葉だ。自分を信じ、毎日毎日勉強の“素振り”をする者にだけチャンスは微笑むという意味だ。

多くの子供たちは問題を解き始めると、すぐに弱音を吐く。

「こんなの無理だ」

「わからない」

「面倒くせー」

我々はこれらを「悪魔の言葉」と呼ぶ。問題には、難易度が高そうに見えて、取り組めば、案外そうでないものも少なくない。なのに、「ダメだ……」と自滅することがないよう、我々は子供たちを鼓舞する。

本当の敵は、自らの内側に潜んでいる。だから、教え子には、敵(弱音や難問)が出てきたら、「おい、このやろー!」と叫ばせるようにしている。試験中は心の中で叫ぶことになるが、家で学ぶ際には実際に声に出して叫んでみろ。諦めず、ギリギリまで冷静沈着に粘るためのおまじないだ。

我々の指導を受けた者たちは当然のごとく成功するが、その後、自分が社会に何を還元できるのか考えることが、真のエリートとして最も重要なことだ。自分の天命を知り、自分の出番を懸命に生きるのだ。

諸君の輝く将来のために、健闘を心から祈るぞ!

算数仮面
大手予備校・大手塾講師として長年従事してきたが、過熱化した受験戦争の中で「勉強さえできれば多少のことには目をつぶってもらえる」といった意識の受験生を大量生産してしまったことに自責の念を込めて、真のエリートを生み出す少人数制塾プリパスを開塾。全国の学校での訪問授業や、問題集、DVDの作成・販売なども行う。
(大塚常好=構成 堀 隆弘=撮影)
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