出世には、政治力が必須

こんなアホ会社で出世をしても「成長」とは言えないのかもしれません。でも、権力闘争がとりわけ盛んな総合商社ほどではないとしても、いろんな人間が集まって仕事が遂行される場では、小学生レベルの嫉妬や讒言、媚び、派閥、えこひいき、いじめが表出することが少なくありません。ポジションの上昇を成長と考えるならば、このようなくだらなさにも本気で向き合って戦い抜く政治力が必須なのです。

くだらない状況に直面したとき、仕事に必死な男性はなりふり構わず勝ち抜こうとするでしょう。自らの品位を貶めるような行為を厭わない人もいます。一方で、優秀な女性ほど客観性や分析力を備えているので、あまりの子どもっぽさに気持ちが冷めてしまいます。そんなことまでするぐらいなら、転職したり独立しても生きていけると考えるのです。まあ、実際に生きていけるんですけどね。

個人的には、男性と同じように女性も仕事に必死になって出世すべきだとはあまり思いません。そんな社会はギスギスして疲れるからです。アホな出世競争は僕たち男性に任せて、女性は人生の豊かさを思う存分に享受して、ときどき僕たちに教えてほしいと思います。「仕事がすべてじゃないのよ」と。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/