目に見えない部分を、明確なヴィジョンとして示す手法

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たとえば、スティーブ・ジョブズ氏とアップル社現CEOのティム・クック氏を比較してこんな例をあげてくださった。

「まだ目に見えないヴィジョンを感覚的に訴えかけながら、明確なヴィジョンを示すのがスティーブ・ジョブズ。そして、現在のアップルのCEOであるティム・クックは今あることを論理的に示していきます」

どちらも名手であるが、ジョブズ氏のものにはエンターテインメント性、わかりやすさ、そして感性に訴えかけるものが感じられ、一般的により評価が高い。何よりも、短いキャッチと端的な言葉で記憶に残りやすいのだ。

「たとえメモをとらなくても、心に残ることが大切。そのためには、自分がまず“何を伝えたいか、何が大切か”を見極めて、明確に伝えることです。そして最終的には相手が『なるほど』と腑に落ちて、『よしやってみよう』と思う行動を起こさせることです」

これで、人に伝えること、ひいては伝えた真の目的である「行動してもらう」ということは達成できるわけだ。

さて次回は、前刀さんが具体的にどのように内容を論理的に組み立てるか、目的を明確にするか、日々どのように思考の鍛錬をしているのかを具体的にお伝えさせていただこう。