飽食世代に効く「期間限定商法」

でもユキさんのなかでは、「20代のうちに結婚したい」と、確固たる目標があった。

また、「いつまで」と期限を区切るのは、実はマイナス効果だけではありません。

最近、マクドナルドのハンバーガーやデパ地下スイーツも打ち出しているとおり、この手法は「期間限定商法」と呼ばれるもの。

すなわち、「いつまでしか売りに出ないから、買うならいまですよ」と、まさに「いまでしょ!」を訴えかけるアプローチです。

「いつでも買えるなら、いまじゃなくてもいいや」と考えやすい、飽食の時代に育った20~34歳ぐらいまでの男女には、とくに有効だとされています。

ユキさんの例は極端ですが、でもここからハッキリ見えることがあります。それは、

◆婚活では「自分の優位性([4])」を考察することも大事だが、
◆その前に、「ターゲットの絞り込み([3])」を行なうほうが、攻めやすい
ということ。

よく、婚活の場では「自分の強みが何か、よく考えなさい」と言われますが、初めにそこを考えようとすると、あれこれ考えすぎて袋小路に入ってしまう。

でも、「自分は、こんな異性と結婚したい」とターゲットを、より具体的に絞り込むことは、たぶんいますぐできる。

そうすれば自ずと、「[5](自分をどんな場でどう売り込むか)」も、見えてくるでしょう。

昨秋、「私、どうしても西洋人の男性と結婚したいんです」と切望する派遣社員の女性(20代後半)には、次の3つを薦めました。

◆派遣先に、六本木、汐留など、外資系企業が多いエリアを希望する
◆パーティを開催してくれる英会話スクールに通い、青い目の友達を増やす
◆Facebookで、女友達の「友達」欄に着目、西洋人の友達紹介をお願いする

彼女も、念願の汐留に派遣されてから2カ月後に、職場のイギリス人男性と交際をスタート。残念ながら別れてしまいましたが、いまはイベントで知り合った別のアメリカ人男性と付き合い始め、結婚後の渡米も視野に、交際を深めているそうです。

……よく、婚活疲れの男女は、「これほど動いてるのに、出逢いがない」と洩らします。でも、スピード婚に必要なのは、数多くの異性と出逢える「出逢い力」じゃない。

コレと思うターゲット(市場)をまず絞り込んでから、集中して限られた相手との出逢いを探る「絞り込み力」「集中力」です。

皆さんも、明日といわず今日から、まず「ターゲットの絞り込み」を始めてみませんか?

牛窪 恵
1968年、東京都生まれ。大手出版社勤務ののち、フリーライターとして独立。 2001年、マーケティング会社インフィニティを設立。定量的なリサーチとインタビュー取材を徹底的に行い、数々の流行キーワードを世に広める。『アラフォー独女あるある!図鑑』(扶桑社)など著書を多数執筆する一方で、雑誌やテレビでも活躍。10月末『大人が知らない「さとり世代」の消費とホンネ』 (PHP研究所)が発売。12月5日『「バブル女」という日本の資産』(世界文化社)が発売に。財務省財政制度等審議会専門委員。