「偏差値とゴマすりのうまさは比例します」。厚生労働省の元キャリア官僚として、東大法学部出身の秀才に囲まれてきた兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科教授・中野雅至氏はこう断言する。大物政治家たちを籠絡するエリートたちの技を開陳しよう。

方法は3つあります。

1つは、必ず敬語を使うこと。上司だからといって決して偉そうにしない。年上を敬っていることを強調します。

2つ目は、相手の経験を尊重して、依存していることを伝えること。「僕はまだまだ経験が浅いので」と謙遜しながら、「頼りにしています」と依存心をあらわにする。何か命令をする場合でも、お願いする姿勢を忘れないように。相手は言われて悪い気持ちはしません。

3つ目は汗をかくこと。上司が働いて汗をたっぷりかいている状況が、部下にとっては一番気持ちがいいもの。とくに、嫌な仕事は進んで引き受ける覚悟が必要です。

30代の半ば、私は新潟県庁に情報政策課長というポストで出向したことがあります。通常、都道府県庁の課長は50歳を超えて昇進するケースが多いため、私のような若造はどうしても疎ましく思われてしまう。そのことでずいぶん苦労しました。

そのとき、もっとも心がけていたのが自ら進んで汗をかくことでした。たとえば、県議会がらみの仕事や、やっかいな圧力団体がらみの案件は全部自分が引き受ける。次第に年上の部下たちは、私の言うことを聞いてくれるようになりました。

「この人は仕事から逃げない」ということを間接的に伝え、相手のモチベーションをあげることも、一種のゴマすりといえるでしょう。

嫌な仕事を引き受けるのは、別の意味でも効果的なマネジメントです。政治家と官僚の関係でも、大事な情報は全部官僚が握っていて、政治家はぐるぐる回されるだけという状況がよく見られます。手のかかる面倒な仕事ほど、自分から率先して取り組む。エネルギーは使いますが、信頼を得てイニシアチブを握るチャンスでもあるので、ここは腹をくくって汗をかきましょう。

反対に、年下の上司をほめる場合はどうでしょう。心情的にはゴマをすりづらい相手ですが、へんなプライドは捨ててほめるべきです。彼らは人生経験が短い分、どれだけ優秀な人でもほめられてきた期間が短いわけで、ちょっとしたほめ言葉でも喜んでくれることが多い。ほめるのが苦手な人はかえって好都合、練習だと思って年下の上司にゴマをすってみてはいかがでしょう。