巨大な富を築き、それを永きにわたって継続していける真のお金持ちたち。成功するための仕事との向き合い方、意思決定や思考のパターン、代々続けていくための子供の教育とは、どのようなものなのだろうか。富裕層の専門家3人が、彼らの素顔を明かす。
【富裕層の定義】ここでは、船井総研の小林昇太郎氏が独自の方法で算出した5億~10億以上の金融資産を持つと推定できる3万4879人を「超富裕層」、1億~5億未満の金融資産を持つ166万1844人を「プチ富裕層」と定義する。同志社大学教授の橘木俊詔氏は「全国高額納税者番付」をもとに2000年度、01年度と2年連続で1億円以上稼いだ約6000人を対象に調査を実施。

日本には今、真に「お金持ち」といえる人が3万人以上いるという。

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図1 日本の富裕層は増加している

船井総合研究所東京経営支援本部の経営コンサルタントで「富裕層ビジネス研究会」を主宰する小林昇太郎氏によれば、金融資産を1億円以上保有する個人は全国に169万6723人(図1)。医師や税理士などのほか、大企業の役員・従業員、さらには公務員でもそれくらいの金融資産を持つ人は少なくないという。

たしかに、民間の給与所得は1997年をピークに漸減傾向にある。しかし「給与の高い会社員同士の共稼ぎ家庭では、当人たちも気がつかないうちに1億円以上の金融資産を持っているということはよくある」(小林氏)。実はさほど珍しくないお金持ちがこの層なのだ。わかりやすくするために、ここでは「プチ富裕層」と呼ぶ。

一方、雲の上の存在ともいえる本当のお金持ちは、それに比べればぐっと少なくなる。こちらは「超富裕層」と表現しよう。小林氏は、金融資産1億円超の約170万人のなかから、職業や住居の特性、そして「馬主である」「高級外車を保有している」などの属性を独自にポイント化し、合計してある点数以上に達した人を超富裕層と定義づけた。

「この方々はおおむね、金融資産を5億から10億円以上保有していると思われます」(小林氏)。その数、3万4879人(図1)。意外にも増勢にあり、2年で約8500人も増えている。