それは毎日、紙に書き出しながら集中することによって「どうすれば客数を増えせるのか」という問題が潜在意識のレベルで刷り込まれて、脳が24時間体制でその問題を考え続けてくれるからです。その結果、ふとリラックスした瞬間に斬新な解決策が浮かんできたり、ほかの人との会話がヒントになって急にひらめいたりするのです。

同じ問題を毎日考えたほうが、よいアイデアへと結びつく理由は、もう1つあります。

毎日、暫定的にでも解決策を出してそれを試せば、結果をすぐにフィードバックしてアイデアを磨くことができます。

1週間に1度、解決策を出して、それを翌週に検証するとしましょう。検証のデータが集まって、修正の必要があるかどうかを再検討するのは1週間後の振り返りです。つまり「アイデア1.0」を「アイデア1.1」にバージョンアップするのに最低でも1週間かかるわけです。

一方、毎日、同じ問題に取り組んで答えを出して検証を続ければ、1週間後に解決策は「アイデア1.6」まで進化しています。この違いは大きいと思いませんか?

たとえば営業トークに悩んでいる人が、お客さんの気をひくフレーズを考えたとします。いったん思いついたら、頭の中でこねくり回すより、実際にお客さん相手に使ってみたほうが、その是非を判断できます。

その結果、まったく反応がなければ別のフレーズに変えてもいいし、微妙な反応ならば語尾や語順を変えてみて、もう一度試してみてもいい。いずれにしても日替わりでいろいろと繰り返して試すことで、ベストの解決策に近づけることができるでしょう。

アイデアの質に関係するのは、考える量よりも考える回数です。同じ時間を考えることに費やすなら、時間を細分化して、少しでも回数を多くしたほうが圧倒的に効果的なのです。

中司祉岐(なかづか・よしき)
株式会社日報ステーション代表取締役。経営日報の“赤ペン指導”で売り上げを倍増させる日報コンサルタント。クライアントからは、FC、特定ブランドで売り上げ日本一を多数輩出している。高校卒業後、零細飲食店に入社。集客を担当し来店者数10倍、客単価2倍を実現。その後、勤務した大手アパレルチェーンでは、販売員として全国トップテンに入る業績を上げる。その営業・販売の実績を買われ、零細企業の創業、事業立て直し支援事業に従事。そこで中小零細企業こそ少しの工夫で成果が出せると気づき、株式会社ビジフォーム(現・株式会社日報ステーション)を設立。著書に『A4 1枚で「いま、やるべきこと」に気づく なかづか日報』(経済界)、『小さなひらめきが成果に変わる A4マイ日報で「勝ちパターン」仕事術』(幻冬舎ルネッサンス)がある。
※日報ステーション http://nippo-st.com/
(撮影=よねくらりょう)
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