新生ニューロンと関係の深いθ波

記憶のメカニズムはこうなっている
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記憶のメカニズムはこうなっている

新生ニューロンは脳の外から入ってくる何らかの「刺激」によって増やせることがわかっている。そこで、その刺激が何かを探すため、新生ニューロンが増加しているときの脳のなかの変化を調べると、「θ波」と呼ばれる脳波が関係していることが確定された。θ波は1秒間に4~8回の波があり、一般的に「まどろみ」の状態のときに計測される。しかし、それ以外でもθ波は出ているのだ。

まず「運動」である。たとえば、歩いたり、走ったりしているときにもθ波が発生している。また、運動をすると血流がよくなり、新生ニューロンが育つために必要な養分が脳のなかの毛細血管から供給されやすくなる好影響も考えられる。運動と脳機能はいい関係にあり、通勤の時間を少し前にズラして一駅先まで歩いてみるだけでも、新生ニューロンを増やす効果が期待できるだろう。

次に「学習」だ。新しいプロジェクトを立ち上げるためには、いろいろな資料に当たったり、専門家に会いにいくことが必要になる。そうした未知の領域へ積極的にチャレンジしている際にもθ波が発生している。そして、最後が「睡眠」。θ波はレム睡眠のときに出ている。眠ってから90分間隔でレム睡眠が訪れるので、1日当たり少なくても7時間くらいは睡眠時間をとりたいところだ。

もっとも、記憶力が少し衰えたとしても、年を重ねるにつれてさまざまな経験を積んでいるはずである。それにもとづいて、若い人にはできないアドバイスを行えるはずだ。記憶力に神経質になるのではなく、年齢相応の強みを活かすのも一つの考え方ではないだろうか。

(伊藤博之=構成 平山順一=撮影)