女性が会社を辞めずに、子育てと両立させていくためのポイントについて藻谷さんは、「3年の育児休業ではなく、3カ月で職場復帰できるようにすることと、夫である男性が定時退社して子育てを分担することだ」と断言する。働く女性にとってキャリアの中断は避けたい。だから、3年間の育児休業などもってのほかなのだ。そして、その希望をかなえるためには、保育所を増設して待機児童ゼロを実現する必要がある。また、子育てに対する役割と責任を夫婦で分担することで、仕事に集中する余裕が生まれ、メリハリのある生活のなかで第2子を持つ意欲も湧いてくるかもしれない。

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図7 「働いている女性」「専業主婦の女性」どちらが子どもを産むか?

しかし、年配の男性ほど出生率の向上を口にする一方で、「女性は家にいて子どもを育てるもの」という意識を強く持っていたりする。それでは子どもが増えないことは、図7のデータが示す事実でも明らかだ。新興国の台頭で「低価格製品の大量生産」というビジネスモデルが行き詰まり、その転換が強く求められている。男性とは違うセンスを持った女性を積極的に登用していくことで、画期的なブレークスルーが生まれる可能性が高まるだろう。

これまで厳しいシミュレーション結果を示してきたが、日本はどこの国よりも早く「生産年齢人口減・高齢者増」を迎えた。ということは、日本は世界における“大潟村”のポジションにいち早く到達するということでもある。課題は山積しているが、今後の対策次第では世界における“下條村”のポジションにつけることだって夢ではない。それが実現できた暁には、安定した新しい国の形として世界のモデル国家になれるだろう。

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