「オレについてこい」のリーダーシップ

私の仕事道具:消えるボールペン「フリクションボール」を愛用。緊急&大事なことは赤で。予定が変わっても消せるので手帳用に重宝している。

課長に昇進したのは2001年で、周りの同世代に比べて早いとはいえませんでした。管理職をめざして頑張ったわけでなく、役職やタイトルへのこだわりはありませんでした。ただ、自分の仕事が認められたことはうれしかったですね。その結果として、昇進がついてきたという受け止め方です。

管理職になって難しいと感じたのは、組織力を活かす方法です。これは複数の上司から指摘されましたが、私は仕事を抱え込んでしまい、何でも自分ひとりで解決しようとするきらいがありした。周囲を巻き込むことがあまり得意ではありませんでした。

当時のリーダーシップのスタイルは「オレの背中についてこい」型でしょうか。背中を見て学んでねというスタイルです。もともとは男性的な職場環境で、細かく指示しない風土で育ったせいもあるでしょう。しかしそれだけでは組織の力を活かし切れませんし、部下の成長機会を奪うことにもなりかねません。

仕事を任せることは難しいものです。特に立場が上がってカバーする範囲が広がると、目が行き届かない「死角」が増えてきます。その死角まで自分で見ようとすれば無理が生じる。仕事を任せるときの秘訣は、この死角をどれだけ許容するかでしょう。

伊田欣司=構成 宇佐美雅浩=撮影