「納税義務者が1.5倍」はメディアの煽り

「相続大増税時代、到来! 納税義務者が一気に1.5倍に!」

13年度の税制改正で相続税の基礎控除縮減と税率アップが決定(平成27年より適用)されるや、案の定、メディアが煽りました。

相続税は亡くなった人が残した純財産(プラスの財産からマイナスの財産を引いた金額)に対して課税されます。しかし、そのすべてに課税されるわけではありません。

基礎控除があり、その金額を超えた部分についてのみ相続税の対象となるのです。逆に言えば、基礎控除額以下しか純財産がなければ相続税は課税されません。

今回の改正で、確かにこの基礎控除額が縮減されました。現行の基礎控除額=「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となったのです。

法定相続人が3人の場合、基礎控除額は従来なら8000万円でしたが、4800万円に。改正により、純財産が4800万円超の人にも新たに相続税の納税義務が生じるようになったわけです。

しかし、そもそも相続税はかなりの富裕層が主に払う税金です。

ある人が亡くなった結果、その配偶者や子などが相続税を課税されるケースはわずか約4%。今回の基礎控除縮減で、その納税者の割合が6%程度に増えると試算され、それが「納税者1.5倍!」の根拠になっているのですが、残り94%は無縁の税金なのです。