最初に頑張るとあとがラクな「元金均等返済」

一方、元金均等返済は、毎回支払う元金の部分が均等になる返済方法だ。元金部分に残高に対する利息が上乗せされるので、返済額は毎月違ってくる。最初のうちの返済額が一番大きく、返済を重ねていくにつれ返済額は少なくなっていく。元利均等返済に比べて、元金部分の減り方が早くなる分、払う利息が減るというわけだ。

この方法が向いている人は、「現在、返済するお金に余裕がある」「今は収入が多いが、妻が退職するなどで将来の収入が減る可能性がある」、など。何といっても「子どもの教育費がかかる頃に返済額が減っている」のがいちばんのメリットではないだろうか。

つまり、最初のうちはキツいけれども、返済が進むにつれ金額が減ってき、あとがラクになる。モデルプランとして借入期間3000万円、全期間固定金利2.2%、借入期間30年の元金均等返済の総返済額は3993万円、内利息は993万円となり、元利均等返済より約108万円も利息がトクになる。

ワンランク上の元金均等返済の利用法

ここで元金均等返済を使った住宅ローンのもっと上手な返し方を提案したい。

もし、元金均等返済の当初の返済額が家計の中からねん出できるのだとしたら、住宅ローンの返済は別口座にし、そこに毎月、家賃を払うように当初の返済額と同額を入金していこう。実際、引き落とされる返済金額は徐々に減っていくのだから、口座には少しずつお金が貯まっていく。まとまった金額になったら、それを繰り上げ返済に回せばさらに利息が減ってトクをする。住宅ローンの最初だけを頑張るのではなく、しばらくその頑張りを続けられれば、繰り上げ返済ができ返済期間がぐっと短くなるというワザだ。同額をねん出できる時期を考え、わが家のライフプランに合わせて検討してみてはどうだろうか。

なお、元金均等返済は住宅支援金融機構の「フラット35」なら全金融機関で利用ができるが、一般の住宅ローンでは金融機関にとって利息が減るからかあまり表には出ていなく、また扱っていない金融機関もあるので、できるかどうかの問い合わせを。

また、今回は全期間固定金利で紹介したが、10年固定金利も変動金利も元金均等返済方式を選ぶことはできる。しかし、変動金利の動向はこの先誰もわからず、毎月の返済額が減っていくとは限らない。元金均等返済方法がいちばんよい方法かどうかは一概にはいえないのを付け加えておく。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。