相手の「手のうちを読む」とか「肚(はら)の中を読む」とかいう言葉があるが、こういうやり方はわが国の専売特許ではない。特徴的なことは、わが国の場合共属心理の可能な領域においてのみその本領を発揮する、ということである。民族体の成立史上、数多(あまた)の外敵との闘争によって苦難を強(し)いられてきた中国では、当然政治技術にたけた外交家が輩出してくるのも当然だろうが、わが国の「肚を読む」という肚芸は、それとは質的に異なる内容を持つことは、だれが見ても異議のあるはずもなかろう。