もともと、役人たちの世界では“整数論”がまかり通っている。どういうことかというと、たとえば図書館では本を整理する人が1人必要になると、1.0人分の予算がつく。1人じゃ足りないとなると、次は2.0人分の予算がつき、さらに足りなければ3.0人分の予算になる。

しかし一般企業では、こんな話は絶対に通らない。トヨタ自動車やパナソニックなどは、いわば“整数論”を“小数論”にすることによって、生産性を向上させてきたのだ。工場内の一つのセクションを20人でやっていたとすると、次の年は同じことを12人でやれるようにしよう、さらに工作機械を導入してこれを6人でできないか、そのためにはどうすればよいかと考え、「多能工」化を進めた。さらに1人の人間の労力や時間を“小数”まで分けて、それを最大限生かすための工夫を重ねてきたのだ。つまり民間企業では、0.3+0.2+0.5=1(人)となるが、整数論しかない役所では、この解が「3(人)」となってしまう。