――去年9月の自民党総裁選で安倍擁立に動いた理由は何ですか。

【菅】これは明快です。円高・デフレ脱却による日本経済の再生と、東日本大震災からの復興、尖閣や北朝鮮の問題による危機管理といった3つの課題に対応できるのは安倍さんだけだと思いました。私は第1次内閣が終わってから、いつかもう1回、安倍政権を、と思っていましたから、「出馬すべきだ」と安倍さんにずっと言い続けました。総裁選を控えた昨年の8月15日、2人で2、3時間、話をしました。「この3つをやるのは安倍さんしかいない。絶対に出るべきです」と私は言いました。そこで「じゃあやろう」という話になるわけです。

――安倍さんは早くから決意を。

【菅】いや、迷っておられました。第1次内閣の辞め方に対する批判を気にしていました。でも、あの辞め方は必ず1回は批判されますよ、と私は言いました。

――決選投票で石破茂さん(現自民党幹事長)を制して総裁に復帰しました。選挙の前、勝算についてどう見ていましたか。

【菅】出馬の時点では、国民の支持は少なく、石破さんの半分と見られていました。いろいろな人に反対されました。安倍さんに近い人の中には、「待望論が出るまで待つべきだ」と言う人がいました。私は「待望論は本人が出馬して国民に訴えて初めて出てくる」と言って説得して歩きました。「これで負けたら、政治生命がなくなる」と言って反対する人もいましたが、そんな綺麗事では政権は取れないと思っていました。ですが、本人が出馬を決めれば、安倍晋三という流れになるという自信が私にはありました。

――第1次内閣での辞任は、病気発症による体調不良が1つの原因でした。現在、安倍首相の健康状態は。

【菅】ものすごくいいですね。総裁選出馬を決意したのは、体調に自信があったからです。

――総裁復帰から1年余ですが、健康不安は1度もありませんか。

【菅】ええ、まったく感じていないですね、ほんとに。心配していません。