血圧を考えてみそ汁を我慢する必要はない
むしろ血管年齢を改善する効果も

共立女子大学家政学部教授
上原誉志夫

みそ汁の塩分量は思いのほか少ない。加えて共立女子大学の上原誉志夫教授によるみそ汁と塩分の最新研究で、みそ汁として摂取した塩分は、すべてが血圧上昇に結びつくわけではないことも実証されている。

「摂取した塩分のうち、30%は血圧上昇に関与しないことがわかっています」

と上原教授。塩分を摂ると血圧が上昇する特別なラットを、みそを溶かした水と、それと同じ塩分濃度の食塩水を与える群に分けて飼育したところ、みそ水グループのラットの血圧は、常に食塩水グループを下回ったのだ。

なぜそのようなことが起きるのだろうか。吸収された塩分が排出されてしまう、みその何らかの成分が血管を拡張させて血圧の上昇を抑えるという2つの可能性が考えられるが、みそ汁の場合はこの両方が認められるという。

腎臓を通過する塩分は、通常は1%が再吸収されずに体外に排出されるが、みそ汁として摂った塩分の場合は2.5%と、倍以上の値だ。また、みそには水分を排出させる作用もある。普通塩分を摂れば体内に水分が滞留し、血中の水分が増えて血圧を上昇させるが、みそ汁の場合は水分排出作用がこれを調整してくれるのだ。さらに、みそには直接血管を拡張させる働きがあることも実証されている。

「みそ汁の塩分量自体がさほど多くない上に、30%のキャンセル効果も加わりますから、血圧を気にしてみそ汁を控えることにあまり意味はありません。また、みそには抗酸化作用があることが確実視されていて、健康維持や生活習慣病予防効果なども期待できます」

と上原教授。実際、みそ汁の摂取頻度と健康状態との関連を調べた調査(※2)では、みそ汁による血圧への影響は特に見られないという(図3)。また、血管年齢を示すものとして血管の硬さを表すCAVI値(※3)という指標があるが、これは1日1杯程度のみそ汁を飲んでいる人たちが最も低く、血管年齢を10歳程度も改善する傾向が認められている(図4)。

「血管年齢を左右する要素はさまざまありますから、3食全体のカロリー量や塩分量、栄養バランスなど、みそ汁以外の要素も考慮しなければなりません。その上で、1日に1杯のみそ汁を飲むような食生活が、もっとも血管にとって望ましいと考えられます」

※2 第36回日本高血圧学会総会で2013年10月26日に発表した「習慣的味噌汁摂取が血管年齢に与える影響」
※3 心臓から足首までの動脈の硬さを反映する指標で、動脈硬化が進行するほど数値は高くなる。