基礎学校終了後、ギムナジウムに進学するのは同年代の30%程度。大半は手に職を付けるための職業教育課程に進学する。職業教育を施す学校には「基幹学校」(5年制 卒業後に就職して職業訓練を受ける者が主に進学する)、「実科学校」(6年制 卒業後に専門学校に進んだり、中級事務職や中級エンジニアなどの中級職に就く者が主に進む)などが存在する。

基幹学校や実科学校を終了するのが15歳ぐらい。ドイツにおいては、18歳未満の若者は職業学校への通学義務が課せられていて、ギムナジウムに通う生徒以外は、職業訓練学校に通わなければならないが、そこで採用されている職業教育が「デュアルシステム」だ。

デュアル(二元的)とは「理論と実践」のこと。職業学校に通いながら理論的なことを学ぶ一方で、民間企業などの現場で実際に仕事をしながら実践的に学ぶ。理論教育と実践教育、両面から職業人としてのキャリアを積ませるシステムが「デュアルシステム」なのだ。

デュアルシステムを希望する若者は、1週間のうち3日は職場で職業訓練生として働き、2日は職業学校に通って勉強する。彼らは職業学校の生徒でありながら、訓練生として企業で働き、熟練労働者の3分の1程度の給料がもらえる。

職業訓練生を受け入れる企業としても、安いコストで若い労働力が使えるメリットがある。支払う給料の7割は訓練先の企業持ちで、州や連邦政府の支援もある。また、受け入れた訓練生の能力や適性、人間性などを見極めて、職業訓練終了後に正社員として雇い入れることもできる。実際、デュアルシステムで実地訓練した若者の約6割は訓練先の企業に就職するという。