ようやく高まった知名度


村田早耶香さん(略歴は第7回
http://president.jp/articles/-/11150
参照)

活動を始めてから6年。2008年は、かものはしプロジェクトにとって一大転機となった。いぐさの雑貨を製造販売するコミュニティファクトリー事業が軌道に乗り始めただけではない。ほかにも大きな収穫があった。

【村田早耶香氏】TV番組「カンブリア宮殿」に出演したり、日経新聞にもプロジェクトの活動が紹介されたりしたことで知名度が一気にあがりました。特に大きかったのが「カンブリア宮殿」ですね。タイを舞台に、臓器移植を目的とした子どもの人身売買や幼児買春をテーマにした邦画「闇の子供たち」(2008年、阪本順治監督)の公開も、児童買春(子どもが売られる問題)に関する知識を広めたように思います。私たちは、日本でのIT事業とコミュニティファクトリー、それからサポーター(支援者)さんからのご寄付が活動資金になっていたんですが、この 年、毎月1000円を寄付する個人のサポーターさんが2000名近くに急増しました。1本440万円の金塊を寄付してくれた方もいたんですよ(笑)。驚きました。

2008年以降、かものはしプロジェクトの収益は順調な伸びを示している。直近の2012年度の数字を紹介しよう。総収入は1億545万円。うち、コミュニティファクトリー事業の収入は前年度比200%の1373万円に達した。現在、直営店と委託販売を合わせて45店。直営店を出すと売り上げが伸びるため、今年はもう1店出す計画だ。

寄付金の伸びも著しい。サポーターは2900名に増え、オーナー企業や大企業の社会貢献室からの寄付も増加。寄付収入は134%増の3579万円を記録した。ただし、前年度に2720万円の収入をあげたIT事業の数字は、2012年度の決算からは消えた。IT事業の競争は熾烈で、価格競争も著しい。これ以上続けても将来が見えないという理由で2011年度末をもって解散したからだ。それでも経常収支は547万円。主に寄付とコミュニティファクトリー事業でプロジェクトを維持できる体制は整った。