女医に引け目を感じる男性

相手を選ぶときに自由度が高いのはAさんですね。夫が転勤の多い職種でも一緒に暮らすことができます。しかし、医師というステータスに引け目を感じる男性も世の中に多く、今から結婚相手を見つけるのは至難の業です。周囲の高学歴男性はとっくに結婚しています。無理に相手を見つけても、「オレに家事・育児をさせるなよ。早朝から深夜まで会社にいるんだから。たまの休日はゲームをしたいから」という男性が夫では、Aさんは医師としての仕事を続けられません。

Bさんには社内に恋人がいます。1歳年上の総合職男性です。すでに2年付き合って、どちらからともなく結婚の話が出ています。地方出身の彼は1人暮らしが長く、一通りの家事はできます。Bさんが生き生きと働いていることも頼もしく思っているようです。大きな問題は、Bさんの会社では総合職の全国転勤は宿命であり、社内結婚をすると一般職のBさんはいずれ会社を辞めざるを得なくなることです。

話し合いではどうにもならないことも

もちろん、結婚してからの話し合いや思いやり、信頼関係の積み重ねは重要です。「仕事と家庭のバランス」の2割ぐらいは、結婚後の2人の努力で改善されると思います。それでも8割はどうしようもありません。30年近く生きてきた人間の性格や能力は大きくは変えられないし、結婚相手との円満な生活を送るための仕事に今から就くことは難しいでしょう(多くの場合、女性のほうがキャリアダウンすることで解決しています)。

人を好きになることに条件はありません。ただ、好きになる。ずっと一緒にいたいと思う。それが恋愛ですよね。しかし、結婚には「生活を共にする」という条件があります。どんなに素敵な恋人であっても、会社勤めを続けたいあなたには結婚相手として不向きかもしれません。初期設計だけは慎重に見極めなければ、「仕事と家庭のバランス」は結婚直後に崩壊するでしょう。

恋愛感情と初期設計を同時に満たす相手と両想いになる――。なかなか難しいですよね。女性が働き続ける時代、男女の未婚率が上がっていくことは当然なのだと思います。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/