2013年11月22日(金)

炒め時間は短いほどいいのか?――炒飯大実験【3】

dancyu 2013年5月号

文・上島寿子 撮影・岡山寛司 協力・「御田町 桃の木」小林武志、山本眞也、宮城大学 食産業学部准教授 石川伸一
小林武志さん

炒飯づくりにおける数多の都市伝説的手法をひたすら試して、ひたすら食べて、その味わいと効果を探る! 第3回目(最終回)は、時間対決。
 協力してくれたのは、「御田町 桃の木」の小林武志シェフ。今回は家庭用ガスコンロに向かっていただいた。ひたすら食べて審査するのは、大衆料理研究家の肩書を持つ文筆家の小野員裕さんと、日々暴飲暴食、で知られる紀行作家の山内史子さん。
 さらに、宮城大学食産業学部の石川伸一准教授に依頼をして、史上初の炒飯電子顕微鏡写真を撮影。炒飯の核心に迫る。

【今回の実験:公式ルール】
ご飯(品種はササニシキ)……200g、溶き卵……40g、ねぎ(みじん切り)……20g、サラダ油……大さじ1と1/2、塩……3つまみ

 

「炒飯に欠かせないのはご飯の香ばしさ。加えて、中国では卵の香りも重要視されています」と小林シェフは言う。

この、ご飯の香ばしさと卵の香りという2つの要素を引き出すのが炒め時間だ。強い火力で一気に炒めるのがよしとされるが、家庭用コンロではどのくらいがベストなのか。

そこで、1分間、2分間、3分間とつくり分け、食べ比べをしてみた。いずれも強火、フライパンの表面温度は250℃で炒め始めている。

炒め時間は短いほどいいのか?

【1分間】まさに未熟者!

ご飯に香ばしさがないばかりか、弾力に乏しい点も低評価。「卵に生っぽさがあり、ねぎもあとひと息、火を入れたい」(小野)。油がなじんでいないため、ベタつきがあり、全体的にバラバラの印象。

【2分間】味の要素が調和した!

ご飯に香ばしさと心地いい歯ざわりが出現。卵の香りと甘味もピークに。「炒飯は炒めることでおいしく育っていくのね、と実感。ご飯、卵、塩が調和して、お互いを引き立て合ってる」(山内)。

【3分間】スカスカですが……

加熱オーバーで卵の甘い香りが衰退。ご飯は香ばしいが、硬い印象に。ただし、「家庭の焼き飯っぽくて和む」(山内)、「炒め不足よりはいい。ウスターソースをかけたくなるね」(小野)との声も。

「ややっ、これは!」

声が響いたのは、1分間炒めた炒飯の試食をしたときだ。「卵が生っぽくて香りも立ってない。炒飯らしいご飯の弾力も乏しいし、油っぽさも感じる」

ダメ出しが噴出したのである。

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上島 寿子