エリトリアで法律をつくる手伝い

【田原】たいへんな環境でしたが、土井さんは見事合格した。その後は?

【土井】ピースボートで、アフリカのエリトリアという国に行きました。

【田原】ピースボートは、辻元清美さんがつくった国際交流団体で、平和運動や人権運動をしている。いまは吉岡達也さんがやっているのかな。土井さんは、こういう運動に興味があったの?

【土井】そうですね。中学のときに国語の先生が副教材として、犬養道子さんの『人間の大地』を配ってくれました。それで南北問題の実態や紛争の裏にある大国の思惑を知って衝撃を受けました。将来は国際的に活躍できる人になりたいとぼんやり考えていたけど、この本に出合ってから、海外に出るだけじゃなく、いつか南北問題みたいな重大な問題に取り組めたらいいなと。

【田原】なるほど。ただ、ピースボートは世界一周ですよね。それがどうしてエリトリアに行くことになったの?

【土井】アトランタオリンピックのときにエリトリアの選手の出場が難しくなり、ピースボートがそれを支援したという縁があり、吉岡さんがすすめてくれたのです。当時、エリトリアは独立したばかりで、憲法をつくっている最中でした。私は難民キャンプに行きたかったのですが、吉岡さんから「難民キャンプに行っても君は役に立たない。せっかく司法試験に受かったのだから、エリトリアで法律をつくる手伝いをしてみてはどうか」とアドバイスを受けて、それもそうだなと。

【田原】エリトリアは、アフリカで1番新しい独立国でしたね。どれくらいの大きさでしたっけ?

【土井】北海道より少し大きくて、人口は400万人くらいの小さな国です。