十分な預金をベースに
予算を決めて株式投資

生島ヒロシ●いくしま・ひろし
フリーアナウンサー。1950年宮城県気仙沼市生まれ。TBSアナウンサーを経て89年独立。ファイナンシャルプランナー、ヘルスケアアドバイザー、防災士など多数の資格を持つ。みやぎ絆大使、みなと気仙沼大使としても活動中。

ベースになる資産は、10年タームで考えるべきです。アベノミクスで本当にデフレ脱却できるのか、と考えるとやや疑問もありますが、今後、インフレ傾向になっていくことも視野に入れれば、あまり欲張らずに年5~6%の利回りを目指したいですね。

ただ、日本だけに投資してそれだけの利回りを達成するのは難しい。やはり、グローバルな投資戦略が必要です。国内と海外の株式や債券に幅広く分散して投資するバランス型の投資信託はお勧めできますね。

「世界まるごとハウマッチ」じゃないけど、そんな世界をまるごと買えるような投資信託はETF(上場投資信託)にもいくつかあります。ETFは株式と同様に手軽に売買できますから、その中から選ぶのもいいでしょう。もしすでに日本株を持っている人なら、日本株の入っていない海外型の投資信託を選ぶといいですね。

また、今後のインフレを考えた場合には、コモディティも外せないところです。金とか、銀とか、小麦とか、さまざまな商品に投資するファンドがありますが、こうしたファンドを買い続けていくのもインフレ対策に効果があるでしょう。今後、コモディティには世界からお金が集まってくると考えられますから、日本のマーケットがブレたときにもヘッジ効果が期待できます。

僕のポートフォリオには、この積み立て投信のほかにも香港ハンセン指数のETFやブラジルのファンドなどが入っています。さらに、以前はかなりの額の米ドル建て資産を持っていました。ところが、意外に日本円の預金を持っていなかったんですね。

それで、真面目に銀行の積み立て預金を始めました。日本ではこのところずっとデフレが続いていましたし、特にリーマン・ショックのあたりからは、これは日本円をベースにすべきだな、と感じたこともありますね。それで毎月、頑張ってそれなりの額を定期預金で積み立て、すでに当初の目標額を達成しています。この預金のベースがあるから、今年は株の短期投資を楽しむ余裕があったともいえますね。

個別株は予算を決めて、その範囲内で売買するようにしています。予算を決めるというのは個人投資家にとって、とても大切なことなんですよ。

でも、僕の場合は予算を決めていても、ついつい上限が上がっちゃう可能性があるんだなあ。ドキドキ、ワクワクするのが大好きですからね。「生島さんの投資はカンと度胸とお祈りですね」って、ベテランFPの方にあきれられるぐらいですから。

投機はダメというのは原則ですが、ときどき血が騒ぐ。株価の動きで元気が出るっていう一喜一憂が、この60兆個の細胞を活性化してくれるんですね。認知症予防のためにも、個別株投資っていいんじゃないかな(笑)。

といっても、基本的には毎月きちんと預金をしている。これが担保になっているから、それ以外の部分で多少は「行け~っ」となっても大丈夫かな、という気持ちはありますね。

アベノミクスによる上昇相場が一段落したら、次は業績相場の番かもしれません。ここからは、ちょっと元気があって、グローバル展開もできて、銘柄によってはオリンピック効果も期待できる、といった個別銘柄を選んで、積み立て投資で買い続けるのもいい方法だと思います。2人の息子にも勧めているんですが、あまり興味がないようで……困ったもんです。