昨年6月に「電子記録債権法」が成立し、本年末までに施行される見込みとなった。これは、約束手形の欠点、すなわち、印紙税を負担したり手形用紙を保管するなどのコストがかかること、紙であるため、紛失や盗難のおそれが物理的に避けられないといった点を「手形の電子化」によって解消しようとするものだ。

一般に、商品を販売した際に発生する売掛代金債権などは、譲渡の手続きが煩雑であり、債権が円滑に流通しにくいうえ、原因となった売買契約が無効となれば、その売掛債権を譲り受けた者が思わぬ損害をこうむるリスクがあった。

さらには、債権の決済が滞った場合の取り立て手続きは、通常の民事訴訟によらなければならず、決して使い勝手がいいとはいえない。

約束手形は、そうした問題点を一括して解決してくれる便利なツールとして、企業活動を中心に広く利用されてきたが、電子化への対応が遅れ、送金決済の流れに押されがちであった。

電子手形の仕組み
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電子手形の仕組み

手形のデジタル化は、コストや安全面以外でも、さまざまなメリットが期待されている。たとえば、債務者ないし債権そのものに関する多様な情報が電子データで供用されることによって、早期かつ低コストの与信が実現される点も、メリットのひとつだ。これは、任意的記載事項として債務者のさまざまなデータがデータベースに掲載可能となっているため。たとえば金融機関のシンジケートローンの円滑化のために活用されることも想定されている。

同法の成立・施行を受けて、三菱東京UFJ銀行が来年6月にも、企業間の手形取引を電子的に仲介するサービスを開始する方針を明らかにしており、さらに全国銀行協会が2010年以降に電子版の手形交換所を開く方向で動き出している。そうした「電子債権記録システム」に電子化された手形に関する情報が一元化されることによって、取引記録などの信頼性がさらに高まっていくと考えられている。