2013年11月8日(金)

炊きたてか?冷めたご飯か?――炒飯大実験【1】

dancyu 2013年5月号

文・上島寿子 撮影・岡山寛司 協力・「御田町 桃の木」小林武志、山本眞也、宮城大学 食産業学部准教授 石川伸一

炒飯の迷宮――。人はそう呼ぶかどうかは知らないが、登板回数は多いのに軸足が定まらないのが炒飯づくりだ。「冷やご飯でつくるといい」との意見に従いつつも、「炊きたてのご飯に限る」との声に流されたり。手順でも「卵が先かご飯が先か」という難問が立ちはだかり、炒め時間、火加減、炒める道具、具材、味つけに至るまで諸説紛々、正解が見えない。

そんなラビリンスの出口を求め、炒飯大実験を敢行。そもそも炒飯づくりが混迷を極めるのは、ご飯問題、卵問題などが国会審議のように混ぜこぜになっているから。ご飯ならご飯に的を絞った“素炒飯”をつくり、比較・検証すれば自ずと答えが見えてくるはず。あ、ここで言う素炒飯とはですね、ご飯、卵、ねぎ、塩だけの超シンプルな炒飯のこと。余計な要素が入らない分、味や食感の違いが浮き彫りになるわけだ。

「御田町 桃の木」オーナーシェフ
小林武志さん
香港をはじめ現地に頻繁に足を運び、研鑽を怠らない。店で出す炒飯は塩味のみ。卵の香りを最大限に引き出す。

この無謀な計画に協力してくれたのは、「御田町 桃の木」の小林武志シェフ。普段はプロ用コンロの猛火を操り、美味なる炒飯を生み出すが、今回は家庭用ガスコンロに向かっていただいた。

一方、ひたすら食べて審査するのは、大衆料理研究家の肩書を持つ文筆家の小野員裕さんと、日々暴飲暴食、で知られる紀行作家の山内史子さん。小野さんは中華料理店で鍋を振っていた経験があり、山内さんは「うんまい炒飯と餃子にビールがあればパラダイス」というお方。どちらも大容量の胃袋を持つことは言うまでもない。

さらに、宮城大学食産業学部の石川伸一准教授に依頼をして、史上初の炒飯電子顕微鏡写真を撮影。

もちろん、炒飯と一口に言っても、中華レストランのエレガントな味を好む人もいれば、街の食堂の素朴な味が1番という人もいるだろう。この大実験で探るべきは「どれが自分の舌に合いそうか」ということ。スポットが当たったところを抜き出せば自分の理想の一皿が完成するわけだ。

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上島 寿子