自信ありvs自信なしここまで差が出る営業テクと成績

ところで、「自信あり」と「自信なし」とでは実際の営業成績にも差があるのだろうか。結論から言うと、「自信あり」のほうが圧倒的に成績がいい。我々がとりわけ注目しているのが、粗利益率の差である。

たとえば、ある会社に5000万円を売り上げる営業マンが2人いて、一方は「自信あり」、もう一方が「自信なし」のタイプだったとする。「自信あり」が10社で5000万円の売り上げを挙げているとしたら、「自信なし」のほうは、60社で5000万円がせいぜいだろう。

なぜこうなるのか。誤解を恐れずに言えば、「自信あり」の営業マンは顧客を選んでいるからだ。たとえば粗利益率を30%取りたいというのが会社の方針だったとすると、その条件を満たせない顧客には最初から見切りをつけてしまう。

しかし「自信なし」は、会社が30%を要求しているのに、売り上げを立てたい一心で、たとえば10%を切る水準で契約してしまう。つまり値段でしか売ることができない。

商品に自信を持てないので、「これは高くても買うべきです」と言うことができず、「安くしておきますから」と競合より値段を下げてしまうのだ。利益率の低さはここからくる。

もちろん「自信あり」の営業マンも一切値引きをしないわけではない。値下げを要求してくる顧客はあらかじめ想像できるので、最初は高めの見積もりを出しておき、交渉の過程で妥当な額へ引き下げるのだ。

顧客には「2・6・2の法則」が当てはまるといわれている。

最初の2(2割)は「高くても有名なところから買いたい」「シェア1番のところから買いたい」という顧客層。極論すれば、この人たちが買いたいのは「安心」である。だから、自社の商品がトップシェアであれば間違いなく買ってくれる。逆に、そうでなければ売り込みようがない。

次の6(6割)は、価格とサービスの質を比べてから買うタイプ。ここはマーケティングとは一切関係なく、営業マンの力で市場を開拓していかなければいけない。最も営業力が問われるセグメントだ。

残りの2(2割)は、価格だけで商品を選ぶ顧客である。

すると、当然ながら、どのセグメントの顧客を持っているかで営業マンの利益率は変わってくる。また、同じ「6」の顧客を相手にしていても、「おたくのサービスいいね」と「質」を評価して買ってもらう営業マンと、同じ商品を売っていても値引きして「価格」で勝負する営業マンとでは利益率が違う。

結論を急ぐと、絶対的な商品力と営業マンの「自信」には、ほとんど関連性がない。商品力が強いはずのトップメーカーにも「自信なし」の営業マンはいるし、3番手企業にも「自信あり」の凄腕営業マンがいる。つまり、どんな会社の営業マンでも「自信なし」から「自信あり」に変身させることはできるのである。

(面澤淳市=構成 ライヴ・アート=図版作成)