3番目の要因は、営業マンが自社の商品に関して「顧客ニーズにマッチしている実感を持てない」ということである。

今回のアンケートのなかでは「貴社の商品は時代や顧客のニーズにマッチしていると思いますか」という質問をしているのだが、経営者層は「はい」と答えた人が62.8%、「いいえ」が22.3%、「どちらともいえない」が14.9%だった。しかし一般の営業マンは「はい」が44.9%、「いいえ」が26.1%、「どちらともいえない」が29.0%。つまり半分以上の人が、ニーズにマッチしていないと思いながら売っているのである。

実際にはその商品が売れている以上、ある程度ニーズにマッチしていると考えるべきだが、営業マンにはその実感がない。

現場の声を拾ってみると、たとえば「現状ではお客さんの声が経営や商品開発に生かされていない。また、自分たちがお客さんに言われていることを上に伝えても、それが商品として跳ね返ってくるとは感じられない」と言うのである。

さらに、「お客さんから指摘されることと、会社から言われることとの間にかなりのギャップが存在し、そのギャップを上がわかっていない」と言う。ヒアリングを続けるうちに、上司や会社の仕組み、開発の考え方に対する不満が噴出してきたのである。

これは、実際にその会社がニーズに合致した商品を出しているかどうかということよりも、それに関して、営業マンが納得するような意味づけを会社が打ち出していないということが問題なのだ。

3つの要因を並べてみたが、そもそも売り込む側の営業マンが売り込むべき商品に対して自信を持っていないというのは、きわめて深刻な問題である。