少子高齢化が進むなか、女性の労働力を増やす必要性があるのはわかる。しかし、国や大手企業がこぞって女性起用に躍起なのはなぜなのだろうか。

※女性活用すべき理由[1][2]はこちら(http://president.jp/articles/-/11123)

女性活用すべき理由[3]
妻が再就職したら、経済波及効果は6.4兆円なり!

(PIXTA=写真)

電通総研が今夏、興味深い試算をした。

「主婦の再就職による直接効果と経済波及効果」と題する調査のなかで、結婚・出産で退職・離職した25~49歳の主婦が希望通りの再就業をした場合の消費の増加による効果を推計したのだ。

「再就職希望者360万人(推計)のうち、正社員、非正規社員、パート・アルバイトとして就業を希望する316万人が再就業した場合の直接効果は2兆9822億円、経済波及効果は6兆3962億円と試算」(広報資料より)

ちなみに、直接効果の大きい産業は、「商業」(5126億円)、「対個人サービス」(4414億円)、「不動産」(3417億円)、「教育・研究」(2536億円)、「情報通信」(2161億円)、「飲食料品」(2085億円)などとなっている。

再び働き始めた女性が収入を得ることによって、当然、消費が増える。再就業の形態や年齢などに照らした予想収入をもとに消費増加額を算出し、「直接効果」に、第1次・第2次・第3次の「波及効果」を加えると全部で約6.4兆円の効果が生まれるというのだ。金は天下のまわりもの。机上の計算だが、そうした効果はめぐりめぐって、多くの人が恩恵を受ける可能性は高いだろう。

同総研では、専業主婦世帯が共働き世帯となることにより、消費実態がどう変化するかについても調査分析している。それによれば、世帯収入は専業主婦世帯に比べ、共働き世帯が1.22倍(年間95万円増)となり、その影響で、消費支出は専業主婦世帯に比べ共働き世帯が1.12倍(年間43万円増)となった。