トラブルがなければ、持ち出しは10万円程度

比較的費用が安いほうだといわれている都立病院のホームページには、「正常分娩:45万~50万円程度、予定帝王切開術:40万~45万円程度」とあり、分娩した時間帯、薬の種類や量、その他さまざまな医療行為によって発生する費用があるので、実際にかかる費用は1人ずつ違う可能性があることが記されている。また、個室を希望する場合には、差額ベッド代が1日あたり1万6000円~2万8000円かかる。最高の2万8000円の部屋に出産後4日間入院すると、プラス11万2000円かかることになる。

分娩の時間によっては、深夜料金がかかる医療機関もあるし、陣痛の前に破水してしまう前期破水などで出産前にも入院が必要になる場合もあるので、出産は予算通り、予定通りにはいかないものだ。助産院での自然分娩も40万円台くらいのところが多い。

あまりトラブルもなく、贅沢な高級産院を選ばなければ、実際の持ち出しは10万円程度ですみそうだ。しかし、出産は、自分が望んだようなケアをしてもらえるか、安心して産めるかどうかも大きなポイント。費用だけでなく、総合的に比較して出産場所は選びたい。

合併症や帝王切開などの場合は、健康保険の適用に

妊娠・出産に関しては、公的健康保険の対象外だが、合併症や帝王切開などの場合には、健康保険が適用されることも覚えておこう。その分の費用に関しては、医療費の窓口負担3割で、高額療養費制度の対象にもなる。

また、この場合、自分で加入している民間の医療保険があれば、手術給付金や入院給付金が受け取れる。民間の医療保険は、妊娠すると加入に制限がかかる場合もあるので、加入を検討しているのなら、妊婦になる前に加入することがおすすめだ。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。