ツイッターで問題を起こした人のアカウントを見ると、やり取りをしている「フォロワー」は数十人程度と少なく、ほぼ全員が友達というケースが多いようです。そのため仲間内でメールをやり取りするようにツイッターを使っています。ところが、そうした書き込みは「公開設定」となっているので、誰でも簡単に見ることができます。仲間に自慢するために「こんなことをしてやったぜ」と投稿した写真は、犯罪行為の動かぬ証拠になります。「炎上」という事態に陥って、はじめて「バカなことをやった」と気づくのです。

これは若年世代にもっぱらスマートフォンだけでネットを利用し、パソコンを使ったオープンなインターネットに不慣れな層がいるからだと考えられます。

パソコンからネットを始めた人は、ネットは「検索」のできるオープンな空間だと理解している人が多いでしょう。一方、スマートフォンからネットを始めた人は、ツイッターやLINEなどからネット活用を始めた人が多く、ネットとは友人とつながるプライベートな空間だと誤解しがちです。ある経営者は、従業員の前で、ツイッターの過去の書き込みがすべて検索できることを実演してみせて、はじめて軽率な書き込みの怖さをわかってもらえた、と話していました。

これまでも「バカな行為」をする人は存在しました。しかし携帯電話で高画質の写真や映像を気軽に撮れるようになり、さらにツイッターなどの「ソーシャルメディア」を通じてネット上で簡単に公開できるようになりました。つまり隠れていた「バカな行為」が、ソーシャルメディアによって可視化されたわけです。

そして、それが「炎上」することで、企業の対応に注目が集まるようになりました。なかには解雇や閉店といった厳しい対応をとる企業が出てきます。そうした動きが新聞やテレビで報じられ、模倣犯が登場。その一方、「バカな行為」の社会的な影響力の大きさが知られるようになり、より多くの人が同様の行為をネット上で探す――。そうした連鎖が現在の状況を招いたのでしょう。