昨年末、待望の外国投資法が成立し、ミャンマー国内の産業インフラの整備は急ピッチで進んでいる。一方で投資関連の法律も徐々に改正作業が進んでいる。『これ1冊ですべてわかる! ミャンマー進出ガイドブック』(プレジデント社)の著者、宍戸徳雄がますます過熱するミャンマーの最新業種規制について報告する。

「100%外資によるミャンマー進出」も可能にはなったが

ヤンゴン市で進む内高架道路建設。

昨年11月に成立した外国投資法、それに基づき制定された今年1月の同法施行規則およびMIC通達。ミャンマー進出の参入障壁を推し量るには、これらの法律に詳細に規定されている業種規制をしっかり読み解く必要がある。しかし、これらの法律の規定の建て付けは、法律の専門家にとっても複雑な規定の仕方で、容易に理解しにくいものとなっている。

まず、外国企業にとっての基本ルールである外国投資法の大原則によれば、明文規定によって100%外資によるミャンマー進出は可能となっている(外国投資法9条)。ただし、この場合もMIC(ミャンマー投資委員会)に個別の承認を得る必要がある。個別案件ごとの行政裁量判断を働かせる余地を残した建て付けだ。この場合も、国営企業法が規定する国家独占12業種については、外国企業の参入は認められない。

他方、100%外資によらないミャンマー企業との合弁の場合においては、外国投資法施行規則およびMIC通達の規定によって、外国資本の出資上限などの規制が細かく規定されている。ただし、出資上限などの明文規定がないものについては原則として、当事者同士の合意に基づき出資比率などを決定することができるが、施行規則によって設定されている投資禁止・制限分野における合弁事業については、外国人による出資上限は80%となっている点は注意が必要だ。