「数字のマジック」にだまされないで!

ここで数字のマジックを紹介しよう。変動金利で、現在の金利が1%、返済期間35年、借入金額3000万円なら、毎月の返済額は8万4684円。これが、マイホームを購入しても“返済額は家賃並み”のマジックだ。不動産会社の営業マンなら、「家賃を払うなんてもったいない。その分でマイホームを手に入れることができるのに。頭金を少し足して、ボーナスでも返済すれば、今なら4000万~5000万円のマイホームも夢ではありませんよ」というかもしれない。

しかし、変動金利がこの先35年間、ずっと1%とは考えにくい。

さらに、35歳の人が35年ローンを組んだとしたら完済年齢は70歳。普通に考えて、65~70歳の間は年金からローンを返済しなければならない。それでなくても、年金がアテにならない世代だというのに……。

ならば繰り上げ返済すればいいじゃないか、と思うなかれ。最初から繰り上げ返済をアテにして組んだローンは、繰り上げ返済ができなかったらオーバーでなく家計が破綻だ。それでなくても繰り上げ返済をする将来の自分自身をアテにしていいのか? 給料が35年間、安定していることをアテにしていいのか?(公務員の人は給料をアテにしてOK)。子どもは費用の安い国立大学に入学してくれるのだろうか?