成長機会や達成感を感じている若者は5~6割

また人材の他流試合も重要である。仕事には多くのやり方がある。もちろん、自社のやり方が最も有効な場合もある。でも、それはほかと比べてみないとわからない。ほかのやり方を見てみて、自社のやり方と比べてはじめてより有効かどうかが判断できる。井の中の蛙状態では、低いままの自社基準で仕事が進められるかもしれない。方法論としては、他社での仕事経験がある人材の中途採用や他社の人材と直接戦う場面かもしれない。いずれにしても、社内競争だけでは、他社で通じる人材は育たない。

そして最後が、企業だけではなく社会の努力も必要だが、比喩的に言えば、ヒーローづくりである。企業の内外で若者の成功を支援し、またその成功を賞賛することである。ポイントは、若者と年齢が近いという点である。ビジネスというルートだけでなくてもよいかもしれない。ソーシャル・ビジネス(社会的企業)やNPOなどの方法もありうる。いずれにしても、若者の社会への貢献意欲をどこまで駆り立てるかがカギであり、そのために成功者を社会的に褒めることも必要である。企業内でも、若手のトライアルを支援し、少し長い目で見ながら、新しいものを生み出していく努力を支援することは可能である。

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若年層の成長機会などの状況:25~34歳層とサンプル全体との比較

現実の企業で若者が育つ環境については、図にデータを示した。調査設計により従業員規模1000人以上の企業で働くひとを代表すると考えられるサンプルである。25~34歳を抽出した場合、成長機会や達成感、貢献感などを感じているのは、5~6割程度だ。これを高いと見るか、低いと見るか。私はもう少し高くてもよいように思う。

国でも企業でも、成長戦略が語られるなか、若年層の活性化は成功のカギである。偶然見ることになったサッカーの試合から、こうした活性化に成功している場のあることを知り、考えることの多い夜だった。

(平良 徹=図版作成)
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