海外出張で多額の現金を持ち歩く必要がない、経費精算も簡単にできる──。そんなサービスが注目を集めている。これまで海外出張の際の決済は、自分で立て替え払いか、会社が現金もしくはクレジットのコーポレートカードを用意するか、大きく言えばこの2つの方法しかなかった。そこに登場したのが第三の方法「海外専用プリペイドカード」だ。安全性が高く、為替レートの面でも有利とあって、導入する企業が増えている。海外決済の最新事情を紹介しよう。

コーポレートカード、
現金決済の問題点とは

あなたの会社では、海外出張の際の経費精算をどうしているだろうか。国内出張であれば、社員が立て替え払いをして後日精算というパターンが多いかもしれない。しかし、海外ともなると長期になるケースも多く、金額がかさむ。ましてや現地で仕入れが必要であれば、社員が立て替えるのは困難だ。

そのような場合は、社員にコーポレートカードを持たせ現地精算をするか、そうでなければ、出発前に現金を渡すことになる。だが、これらの方法には、様々な問題がある。

まず、コーポレートカードの場合は、社員ひとり一人の信用審査が必要になるので、誰にでも発行できるものではない。また、社員によって与信枠(利用限度額)を変更することは不可能だ。仮に会社の与信枠が300万円であれば、社員が持つコーポレートカードでも、上限いっぱいまで利用できてしまう。極端なことをいえば、社員が限度額いっぱいまで利用して逃げてしまえば、会社は大きな損失を被る。

では、社員に現金を持たせる場合はどうか。この場合、経理担当者が事前に両替を行なって手渡すか、社員本人が自分で両替して持って行くことになるが、どちらにしても、手間がかかる。しかも、現金の両替は、為替手数料が高い。

さらに、現金を持ち歩くとなると、盗難や紛失などのトラブルも心配だ。トラベルジャーナルの「海外旅行での盗難・紛失被害に関する調査」(2013年)によると、2012年の日本人海外旅行者は約1849万人だったが、何らかのトラブルに遭遇した人は推計159万人にのぼる。そのうち、約75%が盗難・紛失の被害が占めている。

多額の現金を持ち歩き、盗難などに遭えば会社の損失も大きいし、犯罪に巻き込まれ社員の身に危険がおよび可能性もある。

このような問題をすべて解決してくれるのが、海外専用プリペイドカード「キャッシュパスポート」だ。MasterCardグループのアクセスプリペイドジャパンが提供するサービス。以前から個人向けの「キャッシュパスポート」はあったが、このほど法人向けのサービスがスタートした。