東京の電気が砂漠でつくられる、そんな時代がくるかもしれない。

今年11月、東京電力旭変電所(横浜市)にて、高温超電導ケーブルを用いた電力送電の実証実験が行われる。この超電導ケーブルは電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用したもので、現在の銅ケーブルよりもロスが少ない。そのため、日照時間の長い地域から短い地域へと送電網を築きあげれば、自然エネルギーを用いて効率的に電力が活用できるというわけである。

海外から送電することも可能に(ゴビ砂漠の太陽光発電所)。(PANA=写真)
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海外から送電することも可能に(ゴビ砂漠の太陽光発電所)。(PANA=写真)

実は超電導ケーブルを利用した送電網構想は日本発である。1989年、「全世界に太陽光発電システムを主とした新エネルギー電力を超電導ケーブルで送電する」という「ジェネシス計画」を元三洋電機社長・桑野幸徳氏が提唱した。「ジェネシス」とは、旧約聖書の「創世記」を意味する。この計画は中部大学客員教授(住友電気工業元代表取締役専務)の畑良輔氏と科学技術振興機構理事長の北澤宏一氏の協力のもと推し進められてきた。

日本で生まれた構想だが、「現在はインドなどの新興国、またはヨーロッパなどからの問い合わせが多い」と成長戦略総合研究所調査部長の吉原洋氏は話す。国土が広いため長距離で電気を送らなければならない国々がこの技術に関心を寄せているのだ。

当の日本はというと、他国では一般的である発送電分離が行われていないため、電力会社をまたいだ電力の供給にはそもそも消極的。また、自然エネルギーを使った不安定な電力を自社の電力系統に取り入れたくないというのが正直なところのようだ。