圧倒的な体力と変幻自在の料金設定でドミナント戦略を推し進めるアパホテル。元谷代表は今後の見通しについてこう語る。

「東京のアパホテルは連日満室です。昼間だけ部屋を使う人もいて、1つの部屋が1日に2回売れることも珍しくない。結果として月間稼働率100%超えを達成しています。今後、東京はまだまだ伸びるでしょうね。国内・国外を問わず観光客もどんどん増える。2000万人来たっておかしくありません。オリンピックだって私は東京での開催を確信していました。だからどんどん出店する。地下鉄駅1つごとに1店舗つくってもいい。それを可能とする資金も十分にある」

おもてなしは海外で通用するか

乗りに乗ったアパホテルに対して他社はどのように迎え撃つのか。元谷代表も例に挙げた、最大手として業界を牽引してきた東横インの場合はどうだろうか。東横インといえば、一時期ニュースを騒がせた、創業者である西田憲正の強烈なキャラクターが思い起こされる。その西田について、実の娘でもある黒田麻衣子社長は「本当に尊敬しています」と語る。

東横イン社長 黒田麻衣子

「それまでのビジネスホテルには安かろう悪かろうというイメージがつきまとっていました。それを清潔で、安心で、しかもリーズナブルな価格で提供したのが西田です。わが社の魅力は創業者西田だと言う支配人もいます。やきもちも焼きつつ、まあそうだろうなと思うんですよ」

先の元谷代表の発言の通り、東横インはアパホテルと異なり、自らは物件を所有せず、オーナーと賃貸借契約を結び、経営を行っている。アパが1人勝ちする中、その方針に今後変更はありうるのか。

「これまでの路線を変えるつもりはまったくありません。うちはオーナー様が手を挙げない限り出店はできませんから、アパホテルさんのようなスピードでの出店は不可能です。でもそこが私たちの生きる道です。私どもが出店するような駅前の土地を所有しているのは地元の名士が多いんです。そうなると、オーナー様だけではなく、地元の方々がわれわれの応援団になってくださる。大家といえば親も同然、店子といえば子も同然という言葉がありますが、それを地で行くのが東横イン」