幸せの国といえば、ブータンも有名だが、こちらは全く事情が異なる。多くの人が貧困状態であるにもかかわらず自分を幸福だと認識しているのだ。心身の健康や環境保護、文化の多様性など、経済指標以外の要素が重視されているからであり、いわば心の持ちようで人は幸せになれるということだろう。

私たちも見習いたいが、一方で近年、彼らの幸せ感が下がっているというデータもあった。これは諸外国の豊かな生活が知られるようになったことに一因があるようだ。「足るを知る」国民であったブータンの人々も、情報が行き渡れば、やはり隣の芝生が気になるのか。そう考えるとちょっと悲しくもなる。

日本人についての調査も面白かった。最も幸せ度が高いのは60代女性で、低いのは30代の男性だという。子育ても終わり、まだ健康不安もなく、お金も結構ある60代女性は無敵らしい。一方30代男性には失業者も多く、職があっても、メチャクチャ働かされている……。

パワー全開の先輩女性教授、最近元気のない若手編集者。周囲に当てはまる人が多くて身につまされた。データで幸せを考えたのは初めてだが、よい視点を与えてくれた1冊だ。

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