できれば、20代が望ましい

よく女性が活躍できない現状を語るときに「ガラスの天井」という言葉が使われます。ガラスの天井は見えないため、気がつかずに進んでいってゴツンと頭をぶつけるという意味では、実は「不妊」という「ガラスの天井」も無視できないものではないでしょうか?

キャリア女性なら仕事が優先。キャリアを積んでから産むのが当たり前。芸能人の××さんだって40代で産んでいるのだから、自分だって大丈夫。妊娠という問題を見ないように進んでいくと、いざ妊娠したいときに、ガツンとやってくるのが「不妊」の問題です。出産のリスクが上がるというよりもまず、「妊娠すること」自体が難しくなってしまうのです。

誤解がないように書きますが、私は女性たちがもっと社会で活躍してほしいし、仕事に意欲のある女性や昇進したいと頑張る人は応援したいと心から思っています。そして知人の女性が役職につけば、我がことのように喜びます。ただ、厳然たる「妊娠しやすい時期」の限界を正しく知った上で、賢く選択し、もし子どもを望む場合は賢くプランニングしてほしいとも思います。

会社が女性の活躍研修をするなら、ぜひ「不妊診療」の専門家、それも公正な立場で話ができる医師を呼んで、もう1つの研修をやるべきではないでしょうか?

そして女性だけでなく人事や管理職などの男性、これから子どもを持ちたい男性社員もその場にいることが重要だと思います。語られるのは明らかなデータに基づいた、科学的な事実です。

『妊活バイブル』を共著した齊藤英和先生(国立成育医療研究センター不妊診療科医長 現少子化危機突破タスクフォース座長)の言葉を借りると「できれば20代」の妊娠が望ましい。そして「35歳から上は1年1年がすごく大切になる」ということです。多くの専門家の意見は「20代から34歳まで」なら、高額な不妊治療をしなくても良いし、お産も安産になる確率が高いということです。

私たちは一緒に本を書き、さらに大学へのボランティア出張授業「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプランニング講座」を始めました。

就活する前の学生に大切なことを伝えたいという気持ちからです。医学的な事実については齊藤先生、「結婚」「産める就活」「仕事と産み時」などの「両立」問題は、私が担当します。