「生産フロンティア」を効率化する5つのカギとは

さらに重要なことは、これらの生産要素をすべて効率的に利用して、最大限の生産量を実現することである。このような状況を表す経済学の用語は「効率的な生産フロンティア」と呼ばれる。何らかの規制によって十分に利用できない生産要素があれば、それは資源の無駄遣いとなって、最大限の成長を享受することができない。逆に、たとえこれらの生産要素すべてが増大せずに変化がなくとも、生産フロンティアの効率化をめざすことによって、生産は増大することができる。

産業競争力会議の報告書「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」には、日本産業再興プランとして、産業の新陳代謝の促進、雇用制度改革、人材力の強化、科学技術イノベーションの推進、世界最高水準のIT社会の実現、立地競争力の更なる強化などが提案されている。これらを前述した経済成長の諸要因と関連させると、以下のように整理することができる。

第1に、雇用制度改革は、女性の活躍推進や若者・高齢者等の活躍推進、さらには高度外国人材の活用を通じて労働力の増大に寄与するであろう。第2に、世界最高水準のIT社会の実現は、ITというインフラストラクチャの整備を通じて社会資本の整備に寄与するであろう。第3に、立地競争力の更なる強化は、「国家戦略特区」に限定することなく、規制緩和および投資減税を通じて国内における設備投資を誘発して、物的資本の蓄積に寄与するであろう。第4に、人材力の強化は、グローバル人材やグローバル・リーダーの育成を通じて人的資本の増強に寄与するであろう。第5に、科学技術イノベーションの推進は、研究開発のインフラストラクチャの整備や研究開発投資の強化を通じて、生産技術の向上に寄与するであろう。そして、産業の新陳代謝の促進は、産業転換費用の低減や競争促進・規制緩和を通じて、生産フロンティアの効率化に寄与するであろう。