仕事をスピーディーに進めるには、名刺や書類をきちんと整理しておくことが必要だ。しかし、最近はメールベースで仕事をしている人が増えたので、紙ベースでの資料の整理は必要ないと断言する達人も少なくない。

たとえば堀義人さんが典型だ。

「僕は書類も名刺もパソコンで管理しています。とにかくデータベース化するということに尽きますね」

丸山学さんは、メールを使った次のような名刺整理法を編み出した。

「名刺をいただいて、のちのち必要になるなと感じたときは、その日のうちに、本文中に要件を盛り込んだお礼のメールを出すようにしています。こうしておけば、あとになって必要になったとき、キーワードでメールを検索するだけで連絡先がわかるというわけです。返信をもらっていれば、署名によって相手の住所や電話番号もわかりますから、これで名刺を管理しているのと同じような効果が得られます」

そうはいっても、書類整理に関しては、出版関係者など、仕事柄、紙ベースの資料が溜まってしまうという人もいる。どうやって整理しているのだろうか。

枝廣淳子さんは、書類整理に関しては出色のツールを使っている。旅行会社などでパンフレットを差すのによく使われる7段・3面(合計21段)の回転式書類差しである。

「私は常時10~20のプロジェクトを同時並行で進めていますが、これを使えばプロジェクトごとに書類を差しておけばいいので分類がとても楽です」

進行中のプロジェクトに関してはこのように回転式書類差しが威力を発揮するが、では、いったん完了した仕事の書類はどうしているのか。

「今後使うかどうかわからない書類は、プロジェクトごとに大きな封筒に入れてしまっておきます。封筒の横に日付と内容を書いて、箱の中に立てて入れておくようにするのです」

 しかし、そうして保存しておいた書類も、いずれは不要になる。当然のことながら、捨てるタイミングをどうはかるのかが気になるところだ。

「テーマごとに賞味期限を設定しています。たとえば私がライフワークにしている環境問題関連は動きが多いので3年過ぎたら処分します。逆に、生き方や心理学に関する資料は、賞味期限がありませんから、いつまでもとっておくことにしています」

(談=川本 裕子、箱田忠昭、枝廣淳子、丸山 学、横田 雅俊、堀 義人)