左遷、挫折、苦労……不遇な経験を経て

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20代の頃の評価は

こうした思考、視点の高さの違いと同様、役員に昇る人たちの「仕事力」は、20代の頃から傑出しているようだ。特にベンチャー企業は、突出したアイデア力がものをいう世界でもある。ケンブリッジ・リサーチ研究所でベンチャー企業を担当する丸尾洋祐シニアコンサルタントは「一歩先をゆく革新的アイデアを事業化、具現化するため想像以上の努力をしている」と語る。また同社、代表取締役社長の橋本寿幸さんは、「大企業でも、役員になりさらにトップが目の前にあるような人は、左遷など不遇なポジションを経験している。逃げず挫折せず全力でやり切ったから今がある」と語る。

役員になる人は総じて「優秀」だ。が、メジャーな花道で順風満帆に評価を挙げてきた人間と、時に世間がマイナスと捉えるような道で実績を積んできた人間では、大きな問題が起きたときの耐性が明らかに違う。

「自分の心地よい世界で、手の届く範囲の仕事をしてきた人は部長以上にはなれない。環境の変化に遭い、自分の信条を曲げてでも、目前の壁を乗り越えなければならない経験をしたかどうかが重要」(クルートエグゼクティブエージェントのリテーナーサービス担当、中村一正シニアディレクター)

多くの役員が「20代で優秀なマイノリティ」であり苦労や挫折を味わっていると、大西さん、IT系企業を多く顧客に持つキープレイヤーズの高野秀敏代表も言う。策略がうまいだけのマジョリティでは、せいぜい本部長止まりがいいところだ。