扱いにくい「学歴コンプレックス男」

男性が最も恋愛や結婚から縁遠くなる瞬間があります。それは、自信と意欲を失って「どうせオレなんか。学歴も低いし」と卑屈になり、他者との親密な関わりを自ら遠ざけているときです。それでいて周囲からの評価には敏感で、ちょっとした一言に反応して恨んだり妬んだり慰めてもらいたがったり。こんな卑屈男に比べたら、大して仕事もできないくせに高学歴だけを鼻にかけて威張っている傲慢男のほうがマシなのです。

後者も明らかにバカで嫌な奴ですよ。友だちにしたくありません。でも、前者のような面倒くさくて後ろ向きな男性よりは、後者のほうに生命力を感じるのは確かです。

男性が寄って立つところの自信は、たいてい薄っぺらで相対的なものです。東大卒だとか年収1000万円だとか野球が得意だとか。でも、そんな根拠のない自信でもあったほうがいいと思います。

「片付け偏差値」で勝つ!

もっと言えば、自分勝手な「学歴」を創り出して、自信満々になってしまえばいいのです。「オレは志望校に落ちたけれど、数学だけなら駿台の全国模試で20番にランキングしたことがある。だから実は全国で20番目の高学歴だ。こんな会社の経理なんて余裕だぜ!」と思い込んでいたほうが、働きぶりに勢いが生じるのではないでしょうか。不遜な態度で上司や同僚に嫌われるかもしれませんが、年下の女性からは案外モテたりします。

実際に結婚すると学歴なんて通用しません。今度は相手の女性が苦手なことを発見し、相対的に自信を持つのはいかがでしょうか。片付けが不得意な女性と結婚したら、率先してゴミ捨てなどを仕切って誉め言葉を要求し(「誉めてほしいな~」と可愛くアピールすることが重要です。真顔で求めると「他の家事はやらないくせに!」と叱られます)、我が家における片付け偏差値は75であることを誇りましょう。妻は偏差値45の落ちこぼれ。オレは片付けエリートだからこそ掃除の最前線に立つ義務を負っているのだ……。くだらないですね。でも、それだけで自信が少し湧いてくるのだから不思議です。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/