川島さんは自分の価値観として「プロ意識を持つこと」「周囲にいい影響を与える存在になること」「経済的自立」の3点を明確化し、大目標として「金融のプロフェッショナルになりたい」を掲げた。そのうえで具体的な目標とその達成のプロセスを書きだし、いつまでにどういう順番で取り組むかを考えた。

「後輩にいい影響を与えるためにも、毎月の予算目標を課で最初に達成することを具体的な目標にしました。お客様への訪問回数を増やし、お電話でも1つひとつの言葉を大切に拾うようにしてニーズの把握と喚起をするようにした結果、以前は先輩に手伝ってもらって達成していた予算目標を独力で早い段階に達成できるようになりました」(川島さん)

突発事項&日常業務の対処の仕方

一方、管理職層向けの研修を受けた山崎健朗人事部長は、人事部門全体で第2領域の仕事に注力するよう図っている。

「人事部は昇給・昇格などのルーティンな業務と、誰かが体調不良になった際の対応など突発的な仕事が多く、本来取り組むべき仕事が後回しになっているのを感じていました。そこで研修を参考に『今週はこれに取り組む』という内容を決めて共有し、どんな突発事態があっても進捗を確認しながら週単位で実施するよう心がけています」(山崎部長)

人事部における第2領域の仕事とは、「会社全体の戦略に沿った人事制度を確立すること」(山崎部長)。そこにフォーカスしつつ、ほかの業務のスピードアップを図っていった。

「第2領域を意識することで、そこにかける時間や労力は劇的に変わりました。重いテーマでもみんなで議論すると出口が見えてくることがありますが、ルーティン業務に追われると後回しになりがちです。それがきちんとできるようになり、新しいトライアルを実行できるようになってきました」(山崎部長)

もう1つ従来と大きく変わったことが退社時間である。人事部全体の残業時間が減ったほか、山崎部長自身も以前は9時過ぎだった帰宅時刻が8時には帰れるようになった。

「結局、やっていることにかなり無駄があったのでしょう。それを見える化して『これは必要ない』という事項を共有し、省かせていったことが大きいと思います」(山崎部長)