吉良俊彦(きら・よしひこ)
大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科客員教授、日本女子大学講師、立教大学MBA講師など歴任。ターゲットメディアソリューション代表取締役。マンガデザイナーズラボ総合プロデューサー。イベント業務管理士1級。1981年上智大学法学部卒業後、電通入社。『1日2400時間吉良式発想法』『嘘の破壊』ほか著書多数。

「マンガ」と「デザイン」という誰もが知る言葉を組み合わせて「マンガデザイン」――ありそうでなかったこの言葉・概念が、広告の世界に大きなインパクトを与えようとしている。

いまから4年前、吉良俊彦さんは、頭にその言葉がパッとひらめいたとき、「画期的な広告のビジネスモデルになる。コミュニケーションモデルの革命だ!」と確信した。だが一方で、「きっと、すでにほかの人が使っているに違いない」とも思えた。

「ところが、私が意図するような形では使われていなかった。即、商標登録をしましたよ」

大手広告代理店の電通に約25年間勤めた後も広告ビジネスに関わってきた吉良さんは、マンガを広告に利用しにくいという歯がゆさを延々と味わってきた。

「著作権はじめ自由にならない度、高い金額、スピードの遅さなど、広告主の要求に応えられない状況が蔓延していました」

そこから「マンガデザイン」という言葉に行き着いたきっかけは、2つあった。

「1つは、2006年に大阪芸術大学の教壇に立ったときのこと。 漫画家志望の学生たちはみな講義内容をノートに漫画風にまとめていく。その絵のうまさには驚かされました。もう1つは、09年にiPhoneにふれたときのこと。タップやフリックといった独特のインターフェースを体感したときに、テキスト主体のメディアよりむしろ、マンガが新たなステージで支持されるようになると実感しました」

「マンガを描くのは作家ではなく、デザイナーに近いマンガデザイナーなら広告主の要求を満たせる。マンガは文字よりスピーディに内容を理解してもらえ、海外でも通用する。宣伝臭さを感じさせずに企業と生活者を結びつけることもできる」など次々と広告利用のアイデアがわき上がった。

「3月15日に『マンガプレジデント』が発行されましたが、これを見ればマンガデザインとマンガの違いをわかってもらえるでしょう。従来の『プレジデント』に読み物として掲載される、作家性のあるものがマンガ。『プレジデント』の内容をテキストベース以上に素早く伝えることができるのがマンガデザイン。またマンガデザインは、グラフィックデザインの一種でもあります。だから広告手法の1つとして有効なのです」

生まれて間もないマンガデザインだが、本書には約20に及ぶ企業の導入事例が紹介されている。「世界初、日本発」――マンガデザインは世代を超え、国境を越え、企業や言葉の壁を乗り越えて躍進する。