2013年9月13日(金)

ジャガイモは皮付きのまま水からゆでて

プレジデントFamily 2011年10月号

大塚常好=文 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力 先生:佐藤秀美

 

ポテトサラダに、イモの煮っころがし、カレーやみそ汁の具、ベークドポテト、ふかしイモ、それにフライドポテト……。1年中食卓にのぼる定番中の定番の食材、ジャガイモ。調理頻度が高いはずなのに、案外、「おいしく食べるための基本的な調理法」を知らない人も多いようで。

――ジャガイモは子供も大人も嫌いな人はいませんね。

 

先生ホクホクした食感のジャガイモにはほのかな甘味があります。βアミラーゼというデンプン分解酵素を持っているから糖ができ、ほのかな甘味ができるんです。ジャガイモを加熱すると、この酵素が働きデンプンが分解され糖に変化していきます。ジャガイモを10分間加熱すると、糖はもともと含まれている量の2倍以上に増えるのです。

ホクホク甘いイモに重要な温度帯は、30~50度
――どうやって加熱するのが糖増強のポイントですか?

 

先生βアミラーゼは、30~65度で活発に働くため、ジャガイモをこの温度に長い時間保つと糖の量が増えます。
 ただし難しいのは、βアミラーゼが活発に働く温度帯の中でも、50~60度付近ではペクチンメチルエステラーゼという別の酵素も働いて、これがせっかくのホクホク甘いジャガイモを硬くしてしまうのです。この温度で長い時間加熱すると、その後にいくら加熱をしてもやわらかくなりません。

――ということは、30~50度で長くゆでると甘くなるということ?

 

先生理論的にはそうですが、実際にその状態を保つことは難しいです。温度計でお湯の温度は測れますが、ジャガイモ内部の温度は測れませんし、ジャガイモの中心と外側とでも温度が変わります。
 昔から「芋は水からゆでて、葉物(野菜)はお湯でゆでる」と言いますが、それは理にかなっているんですね。水から弱火でゆっくり加熱するとジャガイモにゆっくりと熱が伝わり、βアミラーゼが活発に働いて糖が作られ、なおかつ硬くならない温度帯(30~50度)を通過する時間が長くなるため、その分、糖の量が増します。ただし、皮をむいてゆでるとゆで汁に糖が溶け出し甘味は減ってしまうため、ご注意を。皮付きのままがいいですよ。

――水から弱火ですね。

 

先生水からゆでると、ジャガイモの表面温度はゆっくり上がります。中心部分にも表面からの熱がじわじわ伝わるので、表面部分と中心付近の温度差は湯からゆでたときよりも小さくなります。つまり、中心も表面も同じように加熱されていくので、表面が崩れることなく、全体がホクホクとおいしくゆで上がるのです。

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大塚 常好