主権国家の経済は、均一ではない。現実の世界には、平均的なイタリア人とか、平均的なフランス人とか、平均的な日本人とか、平均的なアメリカ人がいるわけではない。経営者にとっては、「平均」というのは役に立たない統計上の抽象的概念にすぎない。そして、誤解を招く概念である。この抽象的概念のレベルで世界を見ていると、投資と戦略に関する重要な決定を、国別に下していくのが適切であるかのように思えてくる。アメリカ市場は大きく、成長している。だから、アメリカに進出すべきだ。タイはリスクが大きすぎる。しばらく、進出を見合わせるべきだ……。こういう考え方は、馬鹿げている。