総合職になるとき眠れないほど悩んだ

大和証券大森支店支店長 佐竹優子
大和証券大森支店支店長 佐竹優子

「苦労して入ったからすぐには辞めたくない」と思っていた植原さんに対して、「20代の頃は仕事を辞めたいと思っていたこともある」と話すのが、今年4月に大和証券大森支店支店長に就任した佐竹優子さんだ。

大和証券では、全国に119人いる支店長のうち10人が女性。佐竹さんは38歳と、現時点では一番若い。

朗らかで周囲を明るくする人柄、丁寧かつ的確な受け答え。佐竹さんに会うと、「髪を振り乱して頑張る女性だけが出世する」時代は過去のものになったことがよくわかる。

入社した当時は、「将来支店長になるとは夢にも思っていませんでした」という。社内にほとんど女性支店長がおらず、自分には縁のないことだったのだ。

「当時は5年後、10年後すらイメージできませんでした。将来は結婚して主婦になろうと思っていたくらいです」

しかし、仕事で実績が上がるようになると「このままでいいのか」という疑問が湧いてきた。「同じように頑張るなら、会社から評価を受けて『はなまる』がもらえるほうがいい。達成感を持ちながら成長したい」と考え、エリア総合職試験を受けた。

「総合職になっても実績が上げられないかもしれない」と不安で眠れないほど悩んだが、見事合格。その後もエリア総合職から総合職へ転換を図った。

意識が変わり始めたのは、入社9年目ごろ、新宿支店に異動してからだ。それまで男性中心だった管理職に、女性が一気に就き始めた。

「そこで初めて『このまま頑張れば、私もいつかなれるかも』と、ぼんやりと(管理職が)視野に入るようになりました」

課長代理、次長とステップアップを重ね、次の転換期が訪れる。08年3月、本社のインターナル・ホールセラー室(営業サポート部)への異動だ。全国の支店長の営業活動を支援する部署で、ここを経ると支店長に昇進するケースが多い。それまで遠くに見えていた支店長という役職が、少しずつはっきりした輪郭として浮かび上がってきた。

支店長になると責任も一挙に重くなる。「中途半端な心構えではいけない」と思ったという。過去や現在の上司のマネジメントを思い返し、リーダーとして何が必要かを考えるようになった。