私の著書『企業参謀』の英語版“The Mind of the Strategist”を、マハティール氏はニューヨークの書店で見つけ、彼は即座にそれを50冊買って帰った。そして、官僚のトップたちに配って、全官僚必読と指定した。

その後、彼は私のところに電話をかけてきて、「アドバイザーになってくれ」と言ったのである。当時は「マッキンゼーが政治家のアドバイスなんかやってはダメだ」と言われたので、私は当初、彼に個人的にアドバイスをした。その後マレーシア政府と正式に契約を結んで、会社としてやることになった。そして結局、18年間、彼のアドバイザーを務めた。

彼もまた、すごい読書家だった。国内では最高の教養人であり、ナンバー2でも、もうほとんど手も足も出なかった。そのとき私が感じたのは、「途上国にもこういう人がいるのだ。優れたリーダーが1人いれば十分なのだ」ということだ。