国際協力事業を推進し
立命館の理念を具現化

石野貴史●いしの・たかし
立命館大学 国際部
国際協力事業課 課長

コスモ石油、三菱商事との連携において、立命館大学は日本語教育の監修を担当し、プログラム作成や現地派遣教員の紹介、教育効果の確認などを行っています。また、今年5月にはアブダビ教育評議会(文部科学省に相当)との間で、日本の大学・大学院への留学も視野に入れた覚書を締結しました。さらに、安倍晋三総理大臣はムハンマド皇太子との会談で「今後5年間にUAEの学生500名を受け入れる」ことを確認しています。その実現のためにも、私たちは日本語教育手法の充実をはじめ、留学促進策を積極的に進め、両国の懸け橋となる人材育成を推進する考えです。

2006年に策定した「立命館憲章」では「国際社会に開かれた学園づくり」を掲げ、これまでアブダビ以外でも国際貢献を推進してきました。具体的には、インドネシア政府防災研修やスリランカの観光産業振興、ベトナムへの大学運営ノウハウの提供など。その内容はとても多彩です。

教育研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献することを基本理念とする立命館にとって、国際協力活動はその理念を具現化する重要な取り組みといえます。今後も、国際協力事業課という大学においては独自性の高い組織が中心となって、より意欲的なプログラムを展開していきたいと考えています。

取材を終えて──

教育や研究を社会貢献につなげてこそ、大学の存在意義がある。それを国際貢献へ発展させ、相互理解を促し、立命館大学の教学理念でもある平和を希求する。その具現化の一環が、アブダビでの日本語教育プログラムだ。また大学が触媒となり、企業の社会貢献活動の連携を実現したことも注目される。立命館は、国際協力という舞台で高等教育機関の新たな社会的役割を拓きつつあるといえるだろう。