佐藤可士和氏のスケジュールを管理している佐藤悦子氏。

「経営者と話すことが1番大事」と断言する可士和氏。しかし大企業トップと引く手あまたのクリエーター同士では、頻繁にミーティングの時間を持つのは難しい。そこで悦子氏が考案したのが、「時間割方式」とでもいうべき方法だ。

「長期にわたってお仕事をさせていただく企業トップとのミーティングは、週1回とか月2回とか、ミーティングの曜日と時間を決めて定例にしています。テレビ番組表のように。そのほうがかえって時間をとりやすい。何曜日の何時と1度決めたら、急ぎの確認事項がなくても、その時間は必ずお会いするようにしています。雑談をするだけでも、そこからアイデアが生まれることもあります」(悦子氏)

人と会う予定は火・水・木・金に入れ、月曜日は「デザインデー」として空けておく。可士和氏がクリエーティブな作業に集中するためだ。悦子氏は言う。

「放っておくとどんどん埋まってしまうのですが、クオリティを維持するためには佐藤が集中できる時間を死守するしかない」

また、打ち合わせと打ち合わせの間は最低でも30分あけるという。もし打ち合わせが延びても次に約束した人を待たせることがないし、その間に頭を切り替えることができるからだ。悦子氏は時間の余白を重視する。

「スケジュールに余裕を持たせておけば、何かあってもバタバタしない。それにインターバルや休みをとってリフレッシュすることも絶対に必要です」

博報堂勤務時代に知り合った2人だが、当初は、可士和氏と悦子氏とでは、仕事に関するとらえ方も違った。

「広告業界のクリエーターは徹夜や残業をするのが当たり前で、忙しい=売れっ子、という風潮もありました。佐藤も完全に夜型だったようです。私は博報堂を辞めたあと、外資系企業や化粧品会社に勤めて違う世界を経験しました。それで広告業界の時間の使い方に違和感を覚えたのかもしれません」(悦子氏)